忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) | |
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第二部
第六章
アクセルとベアトリス、ウィスタンそしてエドウィンは修道院に到着します。修道院に来ましたがなかなかジョナス神父とは会えません。ブライアン神父が応対してくれます。この修道院は薄気味悪くなにかを隠しているような雰囲気がします。アクセルとベアトリスが休んでいるときもウィスタンは薪を割り続けています。彼は薪を割りながらこの修道院の様子を窺っているのですがそれ以外にもまだ理由があるようです。
アクセルはまた昔を思い出します。ハービーという男と一緒でした。彼は獰猛な人物でありましたが彼とともにアクセルは重大な任務を果たしているところでした。またアクセルはベアトリスが灰色の髪の兵士から優しい言葉をかけられたときのことを思い出します。見知らぬ人間から親切な言葉をかけられたというだけでベアトリスはすぐに世界への信頼を取り戻してしまった。そのことがアクセルを不安にさせます。思えばアクセルと最初に出会ったときからベアトリスはそうでした。彼女の無防備さ。初対面の男に対する優しさ。
この修道院が元は砦であったことにウィスタンは気づいていました。かつてここはサクソン人の砦だったのです。この砦にいた人々はこれから起こるであろう残虐行為の事前の復讐をしていたのだとウィスタンは言います。アクセルとウィスタン、エドウィンは小屋のなかで山の鳥に捧げる生贄の道具を見つけます。この修道院はなにかを隠している。
ついにジョナス神父と会えることになりました。4人はジョナス神父と対面します。沈黙の僧ニニアンがジョナス神父の世話をしています。ジョナス神父はなぜかひどい怪我をしていたのです。ジョナス神父はエドウィンの傷を見ようとしますがそれをウィスタンは拒否します。彼は強い憎しみとも取れる感情を表に出します。ウィスタンはジョナス神父が生贄となったこと、この修道院の僧が順番に鳥の生贄になる風習があるのではないか。それがキリスト教として最悪の行為なのではないかと尋ねます。
ジョナス神父はエドウィンの傷を診ることになります。それを見たとき彼とニニアンの顔に勝利の表情が浮かびますが、すぐにそれは諦めと悲しみの表情へと変わります。ジョナス神父はクエリグの息が霧となって記憶を奪っているのだと話します。そしてそのクエリグを修道院の僧が守っているのだということも語られます。霧はすべての記憶を覆い隠す。よい記憶も、悪い記憶も。ベアトリスは霧の原因がわかり喜びます。彼女は悪い記憶も恐れていないようです。
第七章
寝ているとブライアン神父がアクセルたちを起こします。修道院で何かがあったようです。どうやらウィスタンとエドウィンに対する追手がやってきたようでウィスタンは彼らと戦っています。アクセルとベアトリスとエドウィンはブライアン神父に連れられ修道院の隠されたトンネルへと案内されます。そこから逃げることになるのですが3人が入るとブライアン神父は入口を閉めてしまいます。
トンネルを先へ進むとガウェインがいました。彼から僧がアクセルたちを騙したのだということが語られます。ガウェインは彼らを助けるためにニニアンにトンネルに入れてもらったようです。そしてブレヌス卿にガウェインがウィスタンの正体を明かしたためにそうなったのだと話します。このトンネルには獣がいます。地面には骸骨があるように感じられます。多くの人間がここで命を落としたような。
先を行くと霊廟のようなものがあり、そこはまるで埋葬地のようです。ガウェインはこの国自体が埋葬地のようだと言います。この土地の下には殺戮の歴史があると。獣の気配があり落とし格子があります。エドウィンが歌い始めます。どうやら彼につけられた傷に原因があるようです。ガウェインはあの傷は竜につけられた傷だと言います。どうやらその傷がクエリグとの出会いを欲望しているようです。アクセルたちはなんとか獣を倒しますが、エドウィンはウィスタンのいる修道院に戻ったようです。アクセルとベアトリスは息子のいる村を目指します。
第八章
エドウィンによって語られる章です。前の日にエドウィンは兵隊が来ることをウィスタンに教えられていました。エドウィンは母の声を聞いています。母はもう近くにいるのでしょうか。エドウィンは回想し、ある15,6歳の少女と出会ったことを思い出します。ウィスタンはエドウィンに修道院の砦としての構造がどうなっているのかを教えます。まるでウィスタンはエドウィンを鍛えているかのようです。そしてエドウィンはウィスタンを助けなければならないのにアクセルたちとともに逃げたことを悔いているようです。しかしウィスタンは兵隊たちをなんとか倒し逃げ出すことにも成功したようでした。
第二部はここで終わりです。文庫本で302ページまでです。第三部以降はまた次回。
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