今日、3月14日は合格発表。受かった受験生、落ちた受験生ともに自分を褒めてやってほしい。受験までに積み重ねてきた努力、それとともに身に着けた力というものが君たちの本当に手に入れたものなのだから。
さて、今回の入試問題だが、まず数学。1番目を引くのは大問6がとんでもなく簡単だったという事実だろう。つまり大問1から順番通り解いていった受験生で、この問題までたどり着かなかった場合は合否を左右するほどのハンディキャップを負うということになる。また縦になってしまったが問題を貼っておく。
大問6は僕なら5分で解ける。空間把握能力を問われる問題であったが、近年稀にみる容易な問題。毎年大問6の特に(3)以降(今回はない)の正答率は1%未満なのだ。つまり捨て問が来るところを今回は解かせてきた。
大問5は規則性の問題。僕は解いていてここに最も時間を取られたが、それほど難しい問題ではない。折り紙を使った問題だが、これと似たような問題が平成24年、平成26年と出題されている。つまり過去問研究をしておけば今年は規則性の似たような問題が出るということは想定の範囲内なのである。僕も直前期の授業では規則性の問題は要注意と言っておいた。
大問4はグラフと関数の問題でこれは毎年出題される。これは問題はないと思う。ろうそく2本がどのように溶けていくかをイメージできればなお容易に解けるだろう。2本のろうそくの傾きが問題では事前に与えられているので、それを使って方程式をつくればいい。
大問3の証明の問題も毎年出題される。今回は三角形と円ということで当然円周角を使う問題だと予想することができる。そして二等辺三角形の性質を使って合同を証明する。合同が苦手な人はやや手こずる気もしないではないが、実際この手の問題しか証明問題は出ない。ここでは時間をかけたくないだろう。
大問2に関しては何も問題はない。
大問1は(7)と(10)が新潟では例年にないちょっとひねった問題ではあったが基本を理解していればこれも問題はない。
ということで数学に関しては難問がまったく出題されないというのが今年度の特徴であった。問題は、これを50分で解くということだが、類似問題の頻出、大問6が容易で非常に早く解けるということから考えると、数学の得意な受験生ならば100点を狙えた問題ではなかったかと思う。ちなみに画像では青ペンで「A」、「A+」などとつけているがこれは僕なりの難易度評価である。最高難度を「C」としてつけている。大問1の(1)は本来「A」なのだが、僕が中央値の出し方を度忘れしてしまったため「B」となっている。つまり問題を解きながら難易度をつけたということだ。
では社会。
社会は例年通り、大問1,2が「地理」。大問3,4が「歴史」。大問5,6が「公民」であった。まず結論を言うと、記述式の難度が若干高かった気がする。それと時事問題に弱い受験生にも難しい問題があったように思う。全体的に難しかったとも言えるが、単なる知識ではない問題を多く出してきたところを考えると一般的には良問といえるものが多かったのだろうと思っている。
地理に関しては、「地図」、「表」、「グラフ」の読み方が身についているかを問う問題が主であった。「時差」を問う問題も毎年出題されているし奇抜な問題というのはひとつもなかったように思う。新潟県の問題ということで北陸地方の特色を問う問題が出題されているが、受験生には想定の範囲内であっただろう。差がつくとしたら記述問題であろうか。
歴史に関してもやはり過去問の焼き直し的なところがあった。歴史だけに時事問題を挟むということもなくスタンダードに作問してきたなという印象を受ける。大問3(6)の唐獅子図屏風は過去問で出題されていてこれが正答という落としてはならないボーナス問題だったと言えるだろう。他は大問4(3)領事裁判権が撤廃された条約だが、直接この条約名を知らなくても他の3つの条約が締結された年号はわかるので消去法で解くことができる。歴史もやはり記述問題で差がつく気がするが、大問3(3)は聖武天皇の鎮護国家思想を押さえていれば容易に解けたので歴史ではそれほど差はつかないかと思われる。
公民は、現代社会に対してどれほど高い意識を持っているかで差がつくので受験生のなかでも苦手としている人は多い。例えば大問5の(1)①②などは大人にとっては非常に容易な問題ではあるが現代社会への意識の薄い受験生には難問となる場合がある。そういう意味において差がつくとしたら公民ということになるだろう。大問6(2)の正答UNHCRも難問と言えるかもしれない。現代社会を苦手とする受験生には今年度の問題は少々厳しい問題となったであろう。
続いて国語。
国語で最初に言っておきたいのは大問4。大問4は平成25年、26年、27年と哲学的テーマを持ってきていた。「世界」→「言葉」、「言葉」→「世界」、といった、「世界」を人間は「言葉」によってどう表現するか。そして「言葉」によって文節された「世界」の貧しさを人間は詩や小説といった表現によっていかにして取り戻そうとしてきたのか。そのような問題が例年出題されていて、今年度は「芸術」をテーマに持ってきた。今回も哲学的テーマであったと言えるだろう。この傾向は当分変わらないと思われる。ゆえに今後も小説が出題されるということもほぼないだろうと思われる。
では大問一、二。漢字、文法の問題でこれらに関して言うことはない。普段の勉強で身につけておくべき事柄である。
大問三。古文。『弁内侍日記』より。例年、歌を詠う習慣、蹴鞠などの風習、楽器の心得など中学までの古文の素養を問われる問題が出題されている。今年度は蹴鞠のルールという少々細かな点が出たかなという印象を受けたが、(一)の問題などは古文の知識がなくとも解ける問題ではあっただろう。古文をある程度の量読んでいれば文意を取ることはそれほど難しくはなかったように思われる。
大問四。自然と人間の関係。そこからどのようにして芸術というものが生まれてくるのか。その繊細な過程を追っている文章である。国語全般に言えることだが小手先の技術で得点を稼ぐことができる問題が入試では出題されることも事実ではある。しかし、文章の本意を読み取るにはただひたすらに本を読むことを続けるしかないのである。そのためには辞書を引くことも当然必要であるし、ある程度の文法を学ぶことも必要(場合によっては複数の文法)である。(二)(三)は文意を取れれば前後の文章を組み合わせてできる基本問題。(四)からこの文章の核心に触れた問題となっていて傍線(3)から後5行目に書かれている、「彫刻の技術は~」から人間の石(自然)との向き合い方を引っ張ってくる必要がある。(六)は最後の段落をまとめる。「人間(のからだの一部分)」=「物」というポイントは外すことはできないであろう。
国語も難易度としては、例年より比較的低め。2日目の学校独自検査も含めての学習が必要ということがあり、受験生への配慮もあったのではないだろうか。それゆえに得点できた人はかなりの高得点となったのではないかと思う。
以上、3科目について今年度の入試問題の傾向について感想を書いてきたが、合否結果というのはあくまで相対的なものであり、自分が満足のいく得点を残してもそれを上回る人が多数ならば結果は変わってくるのである。受験生は受験に向けてこの3年間で学んだ知識を血肉にして、高校生活の糧にしてほしいと思う。当然のことながら高校で学ぶことというのは中学以上のものである。大学なら更に然り。大学進学を志す人は、高校受験とは比較にならない次元の問題が待っているのだということを肝に銘じて高校生活を送ってほしい。高校では当然勉強だけが待っているわけではない。行動半径も交際範囲も広がり楽しいことも辛いことも含めて、今までにない新しいことが待ち受けている。終わってみれば高校受験などは大したことではなかったのだと思うのである。ただ、それを目標に自分をいかに鍛えることができたか、それが受験で最も重要なことなのである。
結果は人生を大して左右しない。受験生の皆さん、長かった受験勉強本当にお疲れさまでした。高校ではさらに多くのことを詰め込まれるわけだが、君たちは3年間で大きく成長してそれを受け入れるだけの能力を既に手に入れているはずである。受験の結果がよくなかった人もそれは今だけのことである。1月経てば忘れてしまうので、今だけは自分の何が足りなかったのかということだけは、自分で引き受けて考えてみてほしい。内省することができる人間だけが成長するのだ。それができたならば高校生活はより充実したものとなるだろう。高校生活は楽しい。夢と希望を持って高校という新しい舞台に挑んでほしい。そして人生を楽しめる人間に育ってくれることを心から祈っている。
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