人はみな妄想する -ジャック・ラカンと鑑別診断の思想- | |
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といっても思いついてことのメモ程度のものなので正確さはまったく保証できない。本ブログを読む方々は自分の思考の流れを読むことを楽しんでいただけたらと思う。
とりあえず「表象」から。
フロイトのいう表象についてメモしておく。P79にある。
フロイトが神経症と精神病の鑑別診断をするとき、「防衛」のメカニズムの種類の違いで診断しようとしている。
ここで出てくる「表象」という概念は、
『ドイツ哲学で通常もちいられる「心に思い描かれた対象」という意味での表象ではなく、むしろ「対象の側から{心的装置に}到来し、「記憶系」に記載されるもの」である。この記憶系は到来した表象の単なる集積所ではなく、表象を種々の連想の系列において相互に結びつける場所である』
とある。
素人のブログであるのでフロイトとラカンの用語を混合させて使うが、シニフィアンが外からやってくる。それが記憶系に記載される。記憶系が下の欲望のグラフのどこにあたるかはわからないが、記憶系ではシニフィアンが結びつく(A)。それはs(A)の場で読点が打たれる。
下の欲望のグラフは
http://overkast.jp/2011/07/%E3%83%A9%E3%82%AB%E3%83%B3%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%89%8B%E9%A0%86-3/
のサイトのものである。掲載の許可を得ていないので後に削除することはある。
防衛機制。防衛は抑圧と理解していいだろう。ただWikipediaの「防衛機制」の、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%B2%E8%A1%9B%E6%A9%9F%E5%88%B6
レベル3に「抑圧」がある。その位置づけには注意する必要があるだろう。
P79
1 防衛の種類による鑑別診断(1894ー1896)
人は表象を受け取り、それを処理している。しかし自分にとって受け入れ難い表象=「自我にとって相容れない表象」が自我に到来するときがある。その相容れない表象は非常に苦しい情動を呼び起こす。それを解決しようとする心の動きが「抑圧」である。
神経症の下位分類にヒステリーと強迫神経症がある。それぞれの防衛が書かれている。ヒステリーでは転換、強迫神経症では配転。精神病では排除。神経症と精神病の鑑別診断には「相容れない表象」をどのように取り扱うかで診断に違いが出る。「相容れない表象」を心的加工することが認められるならば神経症、心的加工を認めないならば精神病と鑑別できる。
表象が非常に重要である。ラカンでは表象は「原初的シニフィアン」とある。表象という概念を曖昧にしたままではラカンを理解することはできない。フロイトに還ることがなによりも重要であろう。
精神病では「相容れない表象」を心的加工をすることはおろか「排除」してなかったことにすることに特徴がある。シニフィアンが結びつき生み出した表象の存在を認めない。抑圧という意味でさえも何も知ろうとしない態度が取られる。
ゆえに神経症は防衛によって身体症状として症状が現れるが、精神病は身体症状としては現れず表象と関連する表象がそのままのかたちで幻覚として姿を現す。